シェリの旅路
『お兄さん、やっと起きた♪

キミね、お兄さんに

聞きたい事があるの』


キミはジオの顔を見て

にこりと笑う。


「しゃべった!

……てか妖精って

本当にいるんだな」


ジオはむくっと起き上がって言う。


キミはジオと同じ

目線の高さに浮いた。


ジオは手を出して

キミの足場を作ってやる。


15センチほどのキミは

ジオの手の平に降り立ち

ちょこんと腰かけた。


クリーム色の短い髪の毛、

透き通るような白い肌に

藤色の花で出来た服を

身にまとった妖精が物珍しく

ジオはまじまじと見つめる。


『ありがとう。キミ、この間

妖精になったばっかりで

あまり飛びなれてないの』


「……この間妖精になったって

……恋する心を無くした者は

妖精になるって言い伝えか?」

『そう。人間だった頃のキミは

恋する心を

なくしちゃったんだって。

だから、キミは妖精になって

人間が愛し合うのを

いっぱい見て、恋する心を

取り戻さなきゃなんだって。

お兄さん、さっき寝言で

愛してるって言ってたから

愛する気持ちとか

ちょっと教えて』


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