シェリの旅路
「ごめんな。

……オレのは参考になんねぇ。

愛は難しいんだ。苦しくて辛い」


ジオは苦笑しながら

キミに謝った。


もう会えない恋人の事を

寝言でいうほど

今でも愛している自分が

情けなく思えた。


『恋は苦しくて辛いの?』


キミは眉間にしわをよせて問う。


「……オレの恋は、な。

たぶんお前も

オレみたいな気持ちを

抱いた先の結果が

妖精なんだろうな」


ジオはキミを見て

未来の自分を見ているような

不安感を抱き、哀れんだ。


『ふーん。恋って難しいのね。

キミ、このままずっと

妖精でいようかな?』


「は?」

ジオはキミの真剣な表情に

呆れる。


『だってキミ

今のお兄さんみたいに

苦しそうな顔したくないもん。

それに人間は飛べないしね♪』

キミはイタズラな笑みを

浮かべて宙に浮いた。


「……人間に対して

嫌なイメージ持たせた

みたいで悪いな。

……たぶん人間は人間で

なんか良いことあると思うよ。

……なんて現実から逃げようと

してるオレが言っても

説得力ないか。まぁ、頑張れよ」
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