シェリの旅路
『ね?違うでしょ。

それにこの荷車ひいてる

おじさん。よく見て。

さっきキミが葡萄盗んだ

おじさんだよ。

さっきまで動いてる人間だった』


キミの言葉を聞いて

ジオは荷車をひいている

石像を確認する。


「……本当にこんなおっさん

だったのか?

別人じゃないのか?」


確かにこういう風貌だったが

後ろ姿しか見なかったジオは

容易にはキミの言葉を

信じる事ができず、近くに

魔術師が潜んでいるのでは

ないかと警戒する。


『絶対このおじさん!

本当ジオは弱虫ね。

……きっとジオは

共鳴したんだよ。

キミが思うにジオは

……勇気をなくしたのね?』


キミは悪気なく言う。


(……勇気をなくした、か。

ごもっともだ。

愛してるのに誰かにミルを

とられるのが怖くて

……ミルにフラれるのが怖くて

……だから自分からフッたんだ)

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