シェリの旅路
フランは水晶を片手に

立ち上がった。


店の奥へ行き、小麦粉や卵など

を頂き、次に八百屋へ向かい

果物と野菜をいくつか頂戴した。


八百屋を出たところで

ついに人を発見した。


ある町の高級ホテル内を

映し出していた時だ。


人がいない事を良いことに

青年が高級料理を

食べ漁っている。


(……私より意地汚いのがいたわ)


青年の満足そうな顔が

やたら憎たらしい。



「キミ、これうまいぞ!」


『どれどれ?……おいしい!』


(……ん?一人じゃないの?

声もするし)


フランは不思議に思い、

青年に視点をあわせて拡大する。



「さっき吹いた風がまた人を

石にしたんだな。

今度は目の前で石になったから

オレが共鳴者って確信したよ」


『風で石になるって

不思議だよね。そういえば

ジオと会った時もさっきの風

吹いたもんね。おかげで

こんなおいしい料理が

ただで食べられる♪』


妖精はテーブルに体操座りして

青年に小さく切ってもらった

肉を食べている。


「そんな呑気でいいのか?

他の共鳴者も見つけなきゃだろ?」
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