シェリの旅路
ジオが殻に閉じこもって

しまったため、

出発が多少遅れたものの

夕方には近くの町についた。


町の人々はもちろん石に

なっていた。


一行は町の宿屋を探し

そこで休むことにした。


人間だけが石になるものだから

調理中の火が燃え移ったりして

何軒かは建物が焼けて

しまっていた。


「……人がいなくなって

火事になって

……私達に帰るところなんて

あるのかしら?」


まだ焦げ臭さの残る町の

悲惨な情景を見て

フランは呟いた。


「……わからない。

オレ達が使命を果たせば

この人達は人に戻れるはずだ。

……オレ達に帰るところが

なくても立ち寄った町の人達に

帰るところがあるように

なるべく一軒一軒火元がないか

調べて被害を最小限にしよう」


ジオの提案に二人は賛成し

頷いた。


悲惨な光景を見たからか

疲れが出てジオとキミは

早めに就寝した。


が、フランだけは夜更けまで

水晶玉を見つめていた。
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