とらべりんぐトリオ
「偽名に決まってんだろ。名無しじゃ不便だからな。」

…なんだぁ。ビックリした。

心配して損した。

私に名乗ったせいでゲームオーバーしちゃうとか、寝覚めが悪すぎる。

「それにしたって『アケビ』はないんじゃない?男の名前にはかわい過ぎるよ。」

「うるせぇ。名前はギルドに登録する時に決めるんだよ。花の名前で名乗らなきゃならねぇって決まりがあるんだ。」

「なんで?仮の名前ならなんでもよくない?」

私の本名は『ユウ』だけど、もっとかわいい名前が良かったって時々思う。

偽名くらい、自由に自分で決められればいいのに。

規則で決まっていて名前も自由に名乗れないなんて、ファンタジアも意外とお堅いみたい。

「理由としては大きく二つある。一つは元々のファンタジアの住人とトラベラーを区別するため。植物の名前ならまず間違いなくトラベラーだと思え。」

なるほど。ちゃんと理由があるのか。

「もう一つは?」

「名前でイメージがわかりやすいからだ。仲間を探すのに役立つ。明るい性格のヤツなら『ヒマワリ』とかな。」

確かに。こんな状態じゃ、情報は少しでもたくさん欲しいからありがたい。

イサナやフウカはどんな名前になるのかな?

「ちなみになんでアケビなの?」

アケビはなんだか寂しそうな顔をして、静かに言った。

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