とらべりんぐトリオ
語り終えるとアケビは、ぎこちなく歯を見せて笑った。

私は、その辛そうなアケビの顔にゲンコツを叩き込んだ。

「いでっ!なにすんだ!?」

小さな男の子を殴るのは気が引けるけど、まぁ気にしない事にしよう。

「うるさい。なんかムカついた。」

だって…ねぇ。

「何やってんのアンタ。女々しい。惚れた女も信じられないの!?」

「…だよな。俺最低だわ。」

あっさり認めて引き下がった。

わかってる。

アケビが自分でそんな事自覚してる事くらい。

ずっと自分を責めている事くらい。

今さっき会ったばかりでも、ハッキリとわかる。

でも言っちゃったのは、きっと彼女の気持ちがわかった気がしたから。

私も女だ。どうしても、女性の気持ちのほうが共感しやすい。

彼女の辛さの100分の1も理解はできていないと思う。

けれど、感情移入するのには十分。

「やっぱ男なんてロクデナシばっかりなんだ。」

「あぁ、そうだ。お前も悪い男に引っかかるなよ。」

「やっぱ男なんて昼間の電灯だよ。」

「…」

「やっぱ男なんて夏のコタツだよ。」

「……」

「やっぱ男なんて」

まだ言いたい事はあったけど、アケビが手を出して制する。

しょうがないからそっちの言い分も聞いてやろう。

「頼むからもう止めてくれ。男は結構ガラスのハートなんだよ。」

がっかり。

なにを言い返してくるかと思ったら、情けない弱音ですか。

「そんなハート、粉々に砕け散ればいい。」

「……泣いていいか?」

「お好きなように。泣きたいだけ情けなくピーピー泣けばいい。」

「誰か!この子止めてくれ!」

かくして、私はアケビという仲間と出会い、この世界での冒険は幕を開けた。
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