とらべりんぐトリオ
「わぁっ!?」

火事!?

早く消さなきゃ!

「みっみみ水!」

「そんなに慌てんな。魔法だって言ったろ。」

「魔法でつこうがマッチでつこうが火は火だよ!アケビも手伝って!」

なにをのんびり構えてんの、このすっとこどっこい!


「大丈夫よ。ほら。」


ふわり、と炎が舞い上がり、私の頬を撫でた。

「おわっ!?」

危なっ!

けど…

熱くない?

「あたしが魔法で出してるの。危険はないわ。」

サルビアがパチンっと指を鳴らすと、それを合図に炎は消えた。

「すごい!私もやってみていい!?」

「もちろん。ただし適性がないと使えないわ。何も起きなくてもがっかりしないでね。」

うぅ

あんまり期待しないでおこう。

山の中から、私は優雅な曲線で縁取られた小さなハープを選んだ。

これなら爪と肉球の手でも弾けそうだから。

「よし、いくよ。」

ポロン

竪琴が透明感のある涼やかな音色を奏でた。
< 38 / 86 >

この作品をシェア

pagetop