とらべりんぐトリオ
「僕と賭をしませんか?勝てたら生き返らせてあげましょう。しかも今ならキャンペーン中につき、クリアできたら一つだけ、あなた達の願いを叶えマス♪」

どうしたらいいんだろうか?この状況。

「何アンタ?キモッ。」

私が悩んでいる間に、イサナはソッコーで罵倒し始めた。

まあ、気持ちはわからなくもない。

だって変だもの。

不審者だもの。

まず衣装があり得ない。

一言で言うならピエロ。

しかもかなり不吉な雰囲気を醸し出すピエロだ。

本来なら鮮やかな暖色が彩っているはずの道化服は、白と黒のモノクロに染められている。

漆黒の大玉で巧みに玉に乗りしながら、小さな真っ白いドクロでポンポンとジャグリングをしている。

不気味。

それ以外の感想が見つからない。

「いいんデスカ?そんな事言っても。生き返りたくないんですか?」

「アンタみたいなやつの言う事なんか信用できるか。胡散臭い。」

激しく同意。

「そうだよ。そんな提案して、あなたにどんな得があるの?」

「待ってよ!やってみよう!私まだ死にたくない!」

フウカだけは、少なからず乗り気みたいだ。

「では、まずルールだけ説明しましょう。なに、簡単デスヨ。」

そう言って、ピエロは罵声なんかどこ吹く風とでも言うように、疑いの眼差しをガン無視して語り始める。

『これからアナタ達には異世界へ旅立っていただきマス♪。

スタート地点はバラバラ、そこから再び全員が集まれたらアナタ達の勝ちデス☆

ただし、それだけでは盛り上がりに欠けますから、少しだけ制約をつけマス♪

一つめ、アナタ達は、全員別の姿に変えさせていただきマス。

なにになるかはお楽しみデス☆

二つめ、3人の名前を、他人に知られたら、そこでゲームオーバーデス。

そして、気になる行き先は楽しい楽しい魔法の国‘ファンタジア’

つまりアナタ達は、右も左も分からない異世界で

顔も名前も分からない仲間を探し出さなければいけない。

どうです?おもしろそうでしょ♪』

ピエロはニヤッと不敵に

大胆に

嘲るように

心底楽しんでいるように

渇いて

歪んだ

笑みを浮かべて

試すように問いかけた
< 4 / 86 >

この作品をシェア

pagetop