とらべりんぐトリオ
ゾッと鳥肌が立った。

どうだろう?

乗るべきだろうか?

勝てば生き返れる。

でも負けたら?

…どうなるんだろ?その事には触れられていない。

「一つ質問。ゲームオーバーした時のリスクを教えて。」

悪徳商法でよくある手だ。

都合の悪い事は隠して旨みのある事だけを教え、目がくらんだところをひっかける。

騙されたらどうなるか、わかったもんじゃない。

「とくにリスクはアリマセン。ただ元の世界に帰れなくなり、永久にファンタジアをさまよう事になるだけデス。これといった罰ゲームはないデスヨ。」

いや、それ十分罰ゲームだから。

でもとにかく、全くのノーリスクじゃない事はわかった。

でも…

「私は乗った。」

やってみる価値はある。

「私もやるよ。」

始めから乗り気だったフウカも、当たり前だと言うように頷く。

「…私も」

イサナも乗った。

これで決まりだ。

「それではゲームスタートですネ♪これが今生の別れかも知れません。お互い言いたい事は今のうちに言っといて下さいね☆」

にぃっと笑ってピエロは玉から飛び降りた。

そして私達が何か話すのを待っているようだ。

どうしよう?何か言いたい。でも何を?

「言うことなんかない。」

イサナだ。ピエロを睨みつけて決然と言い放つ。

「私達は絶対にまた会える。別れの言葉なんかいらない。」

ふっと心が軽くなった。

不安な気持ちが薄れていく。

そうだ、私達はまた会える。

大丈夫だ。

「そうですか♪ではスタートデス☆」

それだけ言うと、ピエロはいきなり回し蹴りをかまして私達を三途の川に突き落とした。

「なっ!なにすんの?!」

突然の事に対処しきれず、鼻や口から水が入ってきてイタイ。

「渡らざればこの世。渡ればあの世。では、川を下った先には何があるのか?それはアナタ達の目で確かめて下さい☆」

かろうじて顔を水面に出すとピエロの口上が聞こえてきた。

「それでは、ぐっどらっく♪」

足が着かない。

沈む。ヤバい。

とりあえず、あの腐れピエロは次会ったらぶん殴る。

そう心に決めたのを最後に、意識が暗闇に飲み込まれた。
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