とらべりんぐトリオ
「なんだ!?化け物め!」

「んだとコラ。誰が化け物だって?」

まあ、確かにコレは怖いだろうけどな。

俺に張り付かれた若い男はすでに失神している。

「コイツを解放して欲しかったら俺の質問に答えろ。今は息ができるようにしてあるけど、このままほっとくと窒息死するぞ。」

みな一同に頷いた。

「まず一つ目。最近王女の様子がおかしい事について、詳しく聞かせてもらおうか。」

地下牢の鍵も欲しいが、そもそも俺達は王女の異変について調べに来たんだ。ついでに聞き込むのも悪くない。

「王女は聡明な方だった。しかし王妃が亡くなられて以来、奇行が目立つようになり、我ら家臣一同で対策を練っているところ。これで満足か?」

比較的に冷静そうな奴が話してくれたが、それはさっき盗み聞きした話ですでに知っている。

もっと、踏み込んだ情報が欲しい。

「その奇行ってのは具体的にどんな事をやらかすんだ?」

「私は王女ではないと言い張る、城から何度も脱走を図る、今まではされなかったような聞き分けのない事ばかり申される。」

「そうしなけりゃいけないような未来が見えたんじゃねえの?」

「我々とて、そう信じたい。しかしあまりにもおかしいのだ。まるで、王女に別の何かが取り憑いているよう。お姿こそ変わらぬが、かつての面影もない。」

ここまでの話をまとめると、考えられる可能性は2つ。

1つは、母を亡くしたショックによる精神が崩壊。

もう1つは、本当に別の誰かとすり替わっている可能性だ。
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