とらべりんぐトリオ
「あら、アケビじゃない。水も滴るいい男になってるわよ。」

奔流に押し流され、ついにアケビは城外へ出た。

ちょうど出たところでサルビアに出くわしたが、タイムの姿はない。

「そいつはどうも。惚れるなよ。それよりコレ、タイムがやったのか?」

「もちろん。私じゃ水は出せないし。それにこれだけやろうとしたらとんでもない魔力がいるの。あのコすごいわよ。」

「アイツは末恐ろしいヤツだって事な。くわばらくわばら。」

激流は渦を巻き、あたりは地震が起きているようにぐらぐら揺れる。

しかし、大量の水は城の外に出れば消えてしまう。

サルビアがカスタネットを叩くと小さな花火が勢い良く上がり、それを合図に水の流れは止まった。

城の外観はディズニー映画に出てきそうな、シャレだ洋式だった。

建物の中心にそびえ立つ尖塔から、小さな影がすばしっこく忍者のように駆け下りてくるのが見えた。

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