とらべりんぐトリオ
その声にハッとして耳を澄ませば、辺りは怪しい気配に取り囲まれていた。

ヤバいっと思ってアケビのそばまでジャンプして逃げると、さっきまでいた場所の地面が抉れた。

「なに?」

「リヴァイアだ。隙を見て逃げるぞ。向こうはかなりの頭数がいる。勝ち目はねぇ。」

リヴァイア…

ゲームオーバーしたトラベラーのなれの果て。

「もしかしたら、この中に仲間がいるかもしれないよね?」

「あぁ。殺すなよ。」

腕を剣に変化させ、アケビは気配に集中する。ピリピリとした殺気が眼光を鋭く見せている。

今いる場所は泊まっている宿の裏。人気はない。小さな茂みがあちこちにあり、ポツポツとまばらに木が生えている。

全ての物陰に、何かが潜んでいる気がする。

「来るぞ。死ぬなよ!」

アケビの喝が合図になったように、茂みのいくつかがザワリと不吉に揺れた。
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