☆いちご塾【2】☆
澪流講師:課題【頭に描いた世界】
課題作品*性(さが)の雫*より
チチチチッ‥チチチチ…
小鳥の囀りで目が覚めた。
ブラインドの隙間から朝陽が差し込み、柔らかな光のベールとなり、まだ夢の中にいる晃の寝顔を包み込んでいる。
『‥何時だろう?』
恵美は、ベッド脇のテーブルの携帯を取ろうと、体を横に向けた。
『うっ、冷たい!』
温もりのない冷たいシーツに触れた瞬間、一気に現実に引き戻された。と、同時に、一方的に自分の性欲を処理するためだけに、体にのし掛かる夫の冷たい肌の感触を思いだし、全身に悪寒が走った。
恵美は晃に強く抱きつき温もりを求めた。
『んっ‥?どうした?』
『ナンでもない‥。』
そう言いながら震える体を、より強く晃に密着させた。
晃は、黙って恵美を抱き締める。
晃と出逢い、厳冬の北の大地の様に凍結していた『性(サガ)』が、この数ヵ月の間に緩かに雪解けていった…。
恵美は、ある決意を胸に秘めていた。
それを、語る事なく晃に伝えようと、肌と肌を重ね合わせた。
皮膚の呼吸も、胸の鼓動も全てを晃と一体化させる様に───。
この部屋を出れば、晃を独占する事はできない……。
『ふっ、ワカリキッテイルコト。でも‥』
感情の分銅と、理性の分銅が、心の天秤を大きく揺らしていた────。
小鳥の囀りで目が覚めた。
ブラインドの隙間から朝陽が差し込み、柔らかな光のベールとなり、まだ夢の中にいる晃の寝顔を包み込んでいる。
『‥何時だろう?』
恵美は、ベッド脇のテーブルの携帯を取ろうと、体を横に向けた。
『うっ、冷たい!』
温もりのない冷たいシーツに触れた瞬間、一気に現実に引き戻された。と、同時に、一方的に自分の性欲を処理するためだけに、体にのし掛かる夫の冷たい肌の感触を思いだし、全身に悪寒が走った。
恵美は晃に強く抱きつき温もりを求めた。
『んっ‥?どうした?』
『ナンでもない‥。』
そう言いながら震える体を、より強く晃に密着させた。
晃は、黙って恵美を抱き締める。
晃と出逢い、厳冬の北の大地の様に凍結していた『性(サガ)』が、この数ヵ月の間に緩かに雪解けていった…。
恵美は、ある決意を胸に秘めていた。
それを、語る事なく晃に伝えようと、肌と肌を重ね合わせた。
皮膚の呼吸も、胸の鼓動も全てを晃と一体化させる様に───。
この部屋を出れば、晃を独占する事はできない……。
『ふっ、ワカリキッテイルコト。でも‥』
感情の分銅と、理性の分銅が、心の天秤を大きく揺らしていた────。