哀色の涙
私の記憶が曖昧なのは、
思い出したくない事が、あるから。
お父さんとお母さんがなぜ居ないのかは、しらない。
おばさんには、「もう思い出させないで!」
って怒鳴られて、それからは聞いてない。
私には、私自身も知らない事が、沢山ある。
それを、藍はずっと隣で見てきたんだ。
どんどん悪い方に変わっていく私を。
私には、荒んだ心しかない。
だから泣けない。
別に、泣かなくったって良い。
ていうか泣きたくない。
弱い自分を誰かに見せたくない。
こんなだから、私の周りには、不良しか集まらないんだよね。
そんな事を考え、あるはずのない心が、泣いていた気がした。