二重人格
『それにしてもタケはモテるねっ』
大好きなグレープフルーツジュースのパックを飲みながら廊下を歩く。
「あいつももったいなさすぎだよ。」
『確かにっ』
「ねぇ、タケはどうなの?」
思いついたように目を輝かせる美咲が少し怖い。
『どうって?』
「好き?嫌い?」
私の顔にどんどん迫ってくる。
『好きだよ?』
あっさり答える私に更に目を輝かせて飛び跳ねる。
「まじ?!
いいじゃんっ、美男美女で付き合えばっ、、お似合いだし」
早口で聞き取れないほど興奮する美咲はなんだか面白い。
『付き合うとかじゃなくて…友達じゃん』
「向こうは絶対そう思ってないと思うけどねっ」
寂しそうにそう言った矢先に…。
「薫っ!
やっと見つけたー」
その声はまさにあいつしかいなかった。
よりによってなんでこんな時に…。
『最悪…』
「なんか俺さっきから皆にきゃーきゃー言われるんだけど」
馴れ馴れしく近づいてくるお姉ちゃんの彼氏はやっぱり変人だ。