二重人格
ぶつぶつと世間話をして私達は別れた。
帰りは長い長い土手を一人で歩く。
この土手は思い出がいっぱいいっぱいつまってる。
本当の自分に戻れる場所。
大きな夕日がとても美しかった。
今まで以上に私の顔を照らした。
「お前、こんな時間に帰って寄り道か?」
後ろから声をかけてきたのはあいつ、ヒロキだった。
『……うん』
「先生の仕事って大変だな。。
やる事いっぱいだし、、、」
『そうなんだ』
「ちょっと、そっけなくないか?」
『今日は私の方が疲れたっ、特にあんたにっ』
ちょっとヒロキをキッと睨んだ。
ヒロキの顔は夕日に照らされ、鼻の高さや大きな目がキラキラしている。
やっぱり、かっこいいのかも。
けど、かっこいいのは顔だけだ。
いや……私はかっこいいのを認めない。
「なにがだよ?」
不満気に私を見下げる彼の顔をまともに見られず、私は下を向いた。
『だからっ、』
「だから?」