二重人格
放課後、また1日が終わり、私は土手を歩く。
私は彼が大嫌いだし、関わりたくない。
だけど、頭の中は彼の事を考えてる。
不思議だった。
「薫っ」
そうすがすがしく呼ぶのはヒロキだった。
少し茶色の髪が夕日に照らされ背広姿がやっと彼に慣れた気がした。
『あぁ…』
「一週間ってあっという間だな、、」
そう言ってゆっくり歩く。
黙ってる私を見てふと口にする。
「また、俺になんか怒るつもり?」
『別に…』
本当の事を言えば、私は何を言えばいいかわからなかった。
先週は確かに言い過ぎた気がするし。
けど、謝るわけにはいかないし。
「俺、ちゃんと反省したぞっ」
はにかみながら私を見る。
彼はやっぱりちょっとだけ、ちょっとだけかっこいいのかもしれない。
『うん…』
「素っ気ないな…学校では楽しそうな顔してんのに」
そう小さな声で言いながら寂しそうにウルウルした目でこっちを見る。
『別に楽しくなんかないよっ』