二重人格
車を運転するヒロキの横顔はなんだか格好良く見えた。
鼻筋と顎の線がスーッとしていて男らしい。
眩しそうな目が私の心を温かくした。
「何?」
彼の横顔につい見とれてしまった。
『あっ、なんでもない』
なんでだろ…。
なんだか格好良く見えてくる。
彼はいつもみたいにチャラチャラしてなくて、真面目な真剣な目をしてる。
どっちが本当の彼なのかな。
ちょっと知ってみたかった。
「薫は好きな人いないの?」
『えっ?
…あっ、好きな人なんかいないよ。』
風に当たりたくて窓を少しあけた。
「もったいないな…あんなに人気者なのに」
『人気者なんかじゃないよ…私は地味だし、目立たない存在』
わざと彼をみずに私は外を見てそう言う。
「家だと全然違うのにな…
どっちが本当の自分?」
『うーん、秘密っ♪』
言わない…。
違う。言えないんだ。
本当の私は学校や家の性格とは違う。
また別の自分。
「意地悪だなっ」
そう言ってクスクス笑う。