二重人格
お姉ちゃんは主婦向け雑誌の編集部に勤めていた。
昔から頭は良く、さっぱりとした性格だった。
元気で明るい人でもなかったけど、とにかく働き者。
自分に利益のある事しかやらないような少し冷めた性格だ。
怒った事はそんなにない。
だけど、そんなお姉ちゃんが好きだった。
好きというより憧れに近い好きだけど。
私はどちらかというと元気な性格だから、お姉ちゃんとは正反対だ。
唯一似ている所と言えば、、、正直なところ。
そのくらいしか頭に浮かばない。
「俺、最中アイス頂きます」
お姉ちゃんの彼氏が言ったその言葉にはすぐ反応してしまった。
『えっ、私の』
小さな声でそう言ったけど、聞いているのはお姉ちゃんだけだった。
「いいじゃん、譲ってあげれば。
アイスなんか全部同じだし」
お姉ちゃんはアイスを選びながらそう言う。
『違うよー、楽しみにしてたのに』
「私アイスの実にしよう」
私の話なんかに聞く耳を持たず、違う話をする。
そんな事にはもう慣れていた。