二重人格
『「ただいまー」』
帰ったのは夜の6時。
「遅かったねー」
優しいお母さんはそう言って微笑んだ。
『ヒロキが洋服持ってないって言うから買ってたの』
「遅くなりました」
そう言うとお母さんは「いいのよ」と言う。
「由里も帰ってるわよ」
お母さんがそう言うと私達は急いでリビングに行く。
『「ただいまー」』
「二人で買い物?
珍しいねー、あんなに険悪ムード漂ってたのに」
お姉ちゃんは無料配布雑誌をソファに寝転がって読んでいる。
『あぁ、確かに…』
私はお姉ちゃんに何も言い返せない。
いつもそうなんだ。
「もう仲直りしたんだよなっ」
ニカッとした笑い方をして私に同意を求める。
『うんっ』
「あっそ、良かったねー」
お姉ちゃんはいつも通り冷たかった。
私も彼もそんなお姉ちゃんには慣れていたんだけど、改めて冷たいなと感じていた。
『そういえばね、ヒロキが可愛いパーカー買ってくれたんだよ』
私はジャンッと言いながらパーカーを袋から出してお姉ちゃんに見せる。