二重人格
『着いたっ』
そこにあるのは都会には珍しい展望台だ。
その展望台はもう廃棄となり、今は全く運営していない。
だけど、私は小さな頃一人でここを発見した。
もちろん、誰にも教えたことはない。
っていうか、教えたくなかった。
だって、ここから見える景色は言葉で言えないほどの美しさだったから。
目の前には川が流れ、大きな月に光り輝く星達。
室内だから雨の日だっていつでもここにきていた。
ただし、一人になりたい時だけ。
『ここは私の秘密基地なの』
「へぇ、こんな場所よくみつけたな」
辺りをもの珍しそうに見回す。
『みてっ
こっから見える夜景は、きっと世界一だよ。』
大きな窓から外を見る。
一面に広がる空。
今日は綺麗な三日月だ。
「わぁっ、すげぇー」
『ここ、お姉ちゃんにもママにも言ってないの。
私だけの場所』
「俺になんか教えていいの?」
『落ち込んでたから、、、それにヒロキは私の未来のお兄ちゃんだからねっ』