二重人格



『着いたっ』


そこにあるのは都会には珍しい展望台だ。
その展望台はもう廃棄となり、今は全く運営していない。


だけど、私は小さな頃一人でここを発見した。

もちろん、誰にも教えたことはない。

っていうか、教えたくなかった。



だって、ここから見える景色は言葉で言えないほどの美しさだったから。


目の前には川が流れ、大きな月に光り輝く星達。


室内だから雨の日だっていつでもここにきていた。



ただし、一人になりたい時だけ。



『ここは私の秘密基地なの』


「へぇ、こんな場所よくみつけたな」


辺りをもの珍しそうに見回す。


『みてっ
こっから見える夜景は、きっと世界一だよ。』


大きな窓から外を見る。

一面に広がる空。
今日は綺麗な三日月だ。


「わぁっ、すげぇー」


『ここ、お姉ちゃんにもママにも言ってないの。

私だけの場所』


「俺になんか教えていいの?」


『落ち込んでたから、、、それにヒロキは私の未来のお兄ちゃんだからねっ』


< 54 / 87 >

この作品をシェア

pagetop