二重人格
「ありがとう。
俺、心配なんだよな。
カッコ悪いけどさ、由里は年上だし、俺よりしっかりしてるし、だから捨てられそうで
俺なんかいなくても変わらない気がする」
遠い目をしてる彼の瞳は月明かりに照らされ、今までに見たことのない切ない表情だった。
そんなに好きなんだ。
なんだか素直に喜ぶ事が出来ない自分がいた。
『変わるよっ
お姉ちゃんは今まで真面目でつまらなそうな人とばっかり付き合ってた
だけど、ヒロキは違う。
最初はなんでこの人なんだろう…って私も思った。
だけど、わかったんだ。
ヒロキは誰よりも心が優しい人だって。
なんていうか、純粋なんだよね。』
「…」
『だから、お姉ちゃんはヒロキとなら上手くいくと思うなっ…』
「うんっ、お前、いいやつだなっ。
俺の妹よ~」
突然そう言って私の長い髪をくしゃくしゃとする。
『えっ!
ちょっとー』
「可愛いなー」
私は可愛がられているペットのように抱きつかれてなでなでされる。
『私はペットじゃないー』
「いいじゃんかっ」