二重人格
「本当に?」
お姉ちゃんは嬉しそうに笑って私にそう言う。
『うんっ、もう私の周りなんか、授業中に彼女いますか?とか聞いちゃったりしてさっ
こっちからしたら良い迷惑だよー』
そう言って私はわざと嫌そうな顔をしてお姉ちゃんを見ると、さっきからは考えられないほど輝かしい瞳をして私を見てニコニコしている。
人はこんなにも変化するんだ。
「そんなに?」
思わず笑みがこぼれてしまうほどの笑い方をしてるお姉ちゃんを見て私は幸せだった。
こっちまで嬉しくなってくる。
『本当だよっ。
ねぇ、ヒロキ?』
私はわざと自分の部屋からリビングに下りてくるヒロキに問いかける。
「はっ?」
何がなんだかわからないようなヒロキの顔は、きょとんとしていて笑ってしまうほど面白かった。
「だから、ヒロキがモテモテだって話♪」
お姉ちゃんは嬉しそうにヒロキに話す。
「…あぁ」
『もー、学校で告白されっぱなし
ねっ?』
無理やり同意をヒロキに求める。
「まぁな」
ヒロキはあっさりとそう話す。
「やっぱり、私が選んだ男は違うわー」
いつの間にかお姉ちゃんの機嫌はよくなって、いつになく嬉しそうな笑顔だった。