二重人格



そんなお姉ちゃんを見る彼も嬉しそうな顔をした。

さっきとは大違いだ。


一気に花を咲かせたようなそんなオーラが全開だった。



私はヒロキに向かって小さくブイサインをして『作戦成功ー』とお姉ちゃんに聞こえないくらいの声で言った。



私の任務が終わると二階に上がって自分のベッドにすぐ倒れた。







抱きしめられた事がまるで夢みたいに思えた。


あの温かい感覚。
まだ覚えている。



私はただ利用されただけだったのかな…。

そのくらいヒロキはお姉ちゃんの事が大好きで、仕方ないんだよね。


そう思ったら涙がスーッとこぼれ落ちて、私はそんな自分に驚いた。





なんで私泣いてるんだよ…。


お姉ちゃんもヒロキも仲直りして、上手く行っているはずなのに…。




なぜ涙が落ちるんだろう。



今は喜ぶところなのに、嬉しいところなのに。


どうして、こんなに切なくて悲しい気持ちになるの?


どうして?


どうして?



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