二重人格




トンッ…ー


トンッ…ー




心臓に響くバスケットボールの音。
振動が昨日の鼓動と重なり合って、昨日の感覚を思い出した。




ドキッ…ー





最悪。
考えたくない。


部室から出てタケの練習をぼーっと眺める。



タケは何回も何回もシュートを綺麗なフォームで入れた。



手足が長く横顔も綺麗な彼を見て、女の子達は騒いでいたのかもしれない。


私は初めてそんな事に気がついた。



『私もやりたい』



ぼやっとそんな事を呟く。
小さな声で言ったはずだったけど体育館は思いのほか響いた。



タケは手を止めて私にボールをパスする。



少し強めのボールを無言でキャッチしてドリブルをする。




トンッ…ー


トンッ…ー



ゴールにめがけて思いきりシュートをうつ。










カンッ…ー



『あっ』


思い切りゴールを外しうつむいた。

まるで私の気持ちが表れているみたいで今にも崩れてしまいそうになる。



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