二重人格
いつもこんな時間になるはずのない携帯がなる。
いつもは全くと言っていいほど携帯を使わない私にメールがくるなんて奇跡に近い。
もしかして…。
私達は真面目な顔で顔を見合わせる。
見るのが怖くて硬直する私を見て
「俺が読む」
とヒロキは言った。
私と美咲はじーっとタケの表情を見た。
メールを見るタケの表情は険しく、いつもの美しい瞳は冷たい瞳に変化していた。
ヒロキは大きなため息をついて携帯を閉めた。
何故か怒りと寂しさが入り混じったような、そんな表情をする。
『なんて?』
私は静かにタケに聞く。
「やっぱりあいつから…
薫、石川と付き合ってないよな?」
その言葉を聞いた瞬間、ドキッとした。
背中がヒヤりとして耳が熱くなる。
嘘だ。
携帯をすぐに奪ってメールの内容を真剣に確認する私。
バスケ部倉庫はシーンとしていてひんやりしていた。