君に捧ぐ嘘
私とリクトは湖に来ていた。


その湖は三角形の形をしており、それほどの面積はなかった。病室からだと、もっと大きな湖だと思ったのに案外小さい。静かな湖畔には私とリクトしかいなかった。


水を両手で触れてみる。



「冷たい・・・」


「でも、気持ちいいだろ?」


「うん」


「魚もいるみたいだな」


リクトが指差す方向に、まだ小さな魚が群れをなしていた。


「俺のせいなんだ」


「え?」


リクトは私の顔を真正面から見た。私は戸惑いを隠せなかった。

< 7 / 9 >

この作品をシェア

pagetop