手の平から





「どうして左手の平じゃなかった?井上の家の時みたいに……」




相沢は私が泣きそうになった時、井上の家では左手の平を貸してくれた。
でも病院では……



「……ああ。…今度はレンタル料取るって言ったから。」



一瞬。
ほんの一瞬だけど相沢は目をそらして言った。



「何それ。」



私は笑った。
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