世界の中心は、...ある兄妹の場合
きっとここだけ
"今"と言うものは

あたしの重荷でしかない


*心視点*


「ママ、おはよー」

「あら心、おはよう。今朝は早いのね」

「目、覚めちゃったから。何か手伝う?」

「じゃあ、学起こして来てくれる?」

「あいよー」


ママの呼んだ学---あたしの1つ上の兄。

その兄を起こすために、あたしは降りてきた階段を上がる。


「さとー、入るよー」


コンコンッ、

一応、"親しき仲にも礼儀あり"というのに乗っ取り、ノックをする。

だが、一向に返事が返ってくる気配はない。


「全く・・・」


ドアノブを静かに捻り、開けば、相変わらずの散らかりを見せる部屋が眼前に広がる。

あたしはその光景に溜息を吐きつつ、ベッドの上で細かに上下する膨らみを見つけた。


「さと、朝だよ」

「・・・ん、・・・」

「ママが呼んでる。ご飯だよ」

「~・・・こ、ころか・・・?」


何度か膨らみを揺すり、声を掛ける。

"さと"とは、あたしが兄を呼ぶときの愛称だ。

普通の兄妹ならば、"兄さん"とか呼ぶのだろうけど、あたし達は別に気にしないのだ。

何度目かの声掛けで、ゆるゆると意識の浮上した学の声が聞こえた。

が、その声は今にも二度寝しそうな声だ。


「早く起きないと、遅刻だよ」

「ん~・・・、ここぉ~・・・」

「はいはい、此処に居るよ」

「・・・・・・ねぇ、父さんと母さんは?」

「パパは早くに仕事に行ったみたい。ママはご飯の準備だから下に居るよ」

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