【BL】保健室のベッドで
「あ! 高木くん、どこ行くのー?」
僕の姿を見つけるなり、パタパタと小さな足音を立てながら走ってくる彼女。
副生徒会長の鈴木さん。
おっちょこちょいだけど、すごく僕の力になってくれるいい人だ。
「あ、体調悪いから…保健室に行ってきます」
「最近、体調悪くなること多いよねぇ?」
くせっ毛のふわふわした髪を小さく揺らせば、黒縁眼鏡の向こうから心配そうに僕を見つめてくる。
そんな彼女を見ていると、とっても心安らぐのだ。
「大丈夫ですよ、心配ありがとう」
笑みを浮かべ返せば、鈴木さんはマシュマロみたいな…
今にも溶けてしまいそうな笑顔を浮かべ「良かったぁ」と言った。
心の隅に生えた罪悪感。
別に体調が悪いわけじゃないから。
「じゃ、お大事にね!」彼女はそう言い残せば、急いでいたのか足早にかけていく。
当たり前のようにしばらく見送り、僕もゆっくり歩き出す。
保健室へ。