愛してるんだよ。
“エントリーナンバー10番、一年四組、佐久間さんと矢倉くん”



と実行委員から呼ばれてカズと定位置についた。



「ねぇ?風邪引いたの?」



『違う。あんまり…綺れ…』



「え?」



途切れ途切れに話す声はよく聞こえなくて、聞き返した。



『~っはぁ。』



と大きく息をはいたカズは、私の耳元で



『綺麗だ』



と囁いた。その瞬間ステージの幕が開いて、二人揃って赤面したまま、突っ立っていた。




今なら、

なんでも出来そうで…

でも、なんにも出来なさそうな気もして…



ふと、観客席に目を向けると、親父がいた…



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