愛してるんだよ。
失礼な保健医に、とりあえず中に入れと促されて、ヨロヨロしながら入った。



『朝飯食ったか?』


「少し」


俯きがちにそう答えたが、朝ご飯なんて食べていない。


カズが用意してくれていたのに、少しも手をつけずにいた


そんな私を怒る事もせず、小さく握ったオニギリを、カバンに入れていたカズは、心底優しいと思った。



『嘘を、つくなよ。』


真っ直ぐ私を見ていた目は、深みがかったグリーン色をしていた。



「え?」


『嘘だろ?私は、感がいいんだ。』


少し、笑みを含んだようにそう言った保健医が、母さんにかぶって見えて…


ビックリして、声が出なかった。
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