愛してるんだよ。
病院へ戻ると、一花が目を覚ましていた。



『葉さん』



「一花…あのッ…」



俺より先に一花が言った言葉に、頭が真っ白になった



『葉さん…私、随分と寝ていたの?鏡を見たら短かった髪が伸びているんだもの…』



と手鏡片手に、頭を捻っている。



確かに、一年位前…一花はバッサリ切った。



ずっと一緒に居て、あんなに短く切ったのはそれきりだ。




「一…」



『一葉は?ていうか…ここ病院?私、病気なの?』



と質問をされる度、目の前が真っ暗になっていく。



  “記憶喪失”




その言葉が頭に浮かんだ。

< 188 / 370 >

この作品をシェア

pagetop