愛してるんだよ。
「一葉、おかえり」



『え、あ…うん。ただいま…』



「どうしたの?」




この状況で、どうしたのと聞きたいのは私の方だ。




そう思いながら



『な…んでもない。』



としか言えない。




「そう。ねぇ一葉…私とお話しましょう?」



と微笑んだ母さんを見て背筋が凍った。



薄暗い部屋の中は、居づらくて、空気すらも居づらいのか、ドンドン酸素がなくなっていくような感じがした。




「ねぇ、一葉」




固唾を飲んで聞いた言葉を、後でひたすら後悔した事を私は忘れない。



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