愛してるんだよ。
母親に、


『一葉、ヨダレ。』


と言われ顔に火がついたのかと思う位熱くなった。


今、思えば…


口元に手を当てて


クスクスと笑うカズに、あの頃から惹かれていたのかもしれない。


そんな事、間違っても言わないけれど。


不覚にも初対面で、カズに見とれてしまったのが運の尽き。


今でもからかわれる時の材料となってしまった。


「並みの女より可愛かったからな、俺。」


と少し笑みを浮かべて、嫌みに言ってくるカズが憎たらしい。


でも、あの頃と変わらない癖。


笑う時、口元に手を当てる姿を見ると


愛らしくもあったり…


なかったり…?


そんな気持ちになる。
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