愛してるんだよ。
“分かった”



って言って…



願いにも似たような思いで、下を向いてカズの返答を待った。



突然、抱きしめられ



「一葉の、天の邪鬼。」


『…』



胸板に押し付けられて声も出せない。



心地よくてもがく事も忘れてしまっていた。



「こんな、声震わして、体冷たくなってまで、強がり言うなよ。“俺”が分からないとでも思った?」


『!!』



その日初めてカズは、自分を“俺”と言った。


何故か悲しくて、バカみたいに涙を流した。
< 9 / 370 >

この作品をシェア

pagetop