総長が求めた光 ~Ⅰ序章~【完】

「で、さっきの質問。なんでカラに肩車してもらってんだよ」


「聞いてくれよ!ヒサ!コイツ自分から“海行きたい”っつったくせに、泳げねぇんだと。」


あたしの後ろにいたカラが、あたしの代わりに説明する。


ヒサはびっくりした顔をした後、短いため息をついた。


そんな、あからさまにため息つかなくてもいいじゃん。


確かに行きたいって言ったのはあたしだけど・・・・。


どうせ、ヒサの事だから“泳げねぇのに。無駄足じゃねぇか”


とか言いたいんでしょ。


そう思ってたあたしにヒサが呆れたように言う。


「肩車してもらいたかったんなら、今度からはカラじゃなくて、俺に言いに来い。」


このバカ。そう付け足しながら。


「だって、キャベツ食べるのに忙しそうだったじゃん」


「お前の頼みならちゃんと聞いてやる」


まっすぐ、力強い目で優しく言う。




< 158 / 204 >

この作品をシェア

pagetop