総長が求めた光 ~Ⅰ序章~【完】
「で、さっきの質問。なんでカラに肩車してもらってんだよ」
「聞いてくれよ!ヒサ!コイツ自分から“海行きたい”っつったくせに、泳げねぇんだと。」
あたしの後ろにいたカラが、あたしの代わりに説明する。
ヒサはびっくりした顔をした後、短いため息をついた。
そんな、あからさまにため息つかなくてもいいじゃん。
確かに行きたいって言ったのはあたしだけど・・・・。
どうせ、ヒサの事だから“泳げねぇのに。無駄足じゃねぇか”
とか言いたいんでしょ。
そう思ってたあたしにヒサが呆れたように言う。
「肩車してもらいたかったんなら、今度からはカラじゃなくて、俺に言いに来い。」
このバカ。そう付け足しながら。
「だって、キャベツ食べるのに忙しそうだったじゃん」
「お前の頼みならちゃんと聞いてやる」
まっすぐ、力強い目で優しく言う。