総長が求めた光 ~Ⅰ序章~【完】
「来週から夏休みに入るからいろんなところに連れてってあげるね。どこがいいか考えといて。」
夏休み・・・・。
そっか、もう夏休みか。
来週で7月も終わる。夏休みに入って当たり前の時期だ。
「行きたいところ・・・・。」
「どーせあっちじゃ、ろくに外出られなかったんじゃねーの?だから行きたいところ考えとけっつってんだよ。俺様たちが、お前の望むところに連れてってやるよ」
それだけ言い捨てるとミズキから飛んでくる鉄拳をかわしながらじゃれ付き始めた。
確かにあそこにいるときは、ほとんど部屋から出なかったから外にも滅多に出なかった。
いや、出させてもらえなかった。
あいつの檻から出れなかった。
いつだってあたしの首の上にはギロチンがあったから。
「ねぇ、今から出られる?」
「すぐにでも行きたい場所があるの?」
にっこり笑ってルイがあたしを見つめる。
うん。今まで一度も行けなかった場所。
ずっと行きたかった場所。