総長が求めた光 ~Ⅰ序章~【完】
「あんた、俺らに拉致られたんだよ?」
手すりにもたれながら続ける。
「その自覚あんの?」
拉致られた。か・・・。
正直、拉致られた。という感覚はなかった。
むしろ、救われた感じだった。
お礼を言いたいぐらいだった。
あそこから逃がしてくれてありがとう。って。
「拉致られた。っていうより救われた。って感じ」
うつむきながら答えた。
「あそこから、連れだしてくれてありがとう」
ほほ笑みながら顔をあげると、シュウは面食らったような顔をしていた。
シュウからの次の言葉が怖くて、あたしは急いで外へ出た。
太陽が眩しかった。