総長が求めた光 ~Ⅰ序章~【完】
あの人はどこまでも最低だ。
そう簡単に、お兄ちゃんのことを悪く言えてしまう自分になんだか笑えてきた。
たぶんお兄ちゃんは、下手したら一生シンの奴隷のままだ。
シンからお兄ちゃんは逃げられない。
お兄ちゃんはシンに償っても償いきれない“罪”を犯してしまったから。
二人のお墓参りも終わり、バイクのところへ戻ってもルイはまだいなかった。
一番端っこに行くと、そこでルイはしゃがんでタバコを吸っていた。
「・・・ルイ?」
戸惑いがちに呼びかけるとルイはにっこり笑ってこっちを見た。
でも、あたしは見逃さなかった。
ルイがまた、悲しい顔をしていたことを。
「お墓参り終わった?」
優しく問いかけるルイに、小さくうなずいた。