総長が求めた光 ~Ⅰ序章~【完】
「ルイ・・・・・。」
このお墓は誰のなの?
そう聞こうとして急いでやめた。
勝手に人の心に土足で踏み入ろうなんて・・。
あたしだって聞かれたくないことの一つや二つはある。
「気になる?誰の墓か。」
少し不安を混じらせた目でこちらを見るルイ。
あたしは、うなずこうか迷ったがルイが話してくれるなら、とうなずいた。
「これね。俺の姉貴の墓なの。」
小さな声でつぶやいたルイは空を見上げた。
空に雲は一つもなくて、周りでは蝉が必死に生きようとしている。
近くにあるのか、たまに海の音もする。
こんなにも周りは騒がしいのに、ルイの声だけはいやに澄んで聞こえた。
「・・おねぇさん・・?」