機械とヒト
プロローグ 青年と少女
荒廃した大地。

倒れた灰色のビル群。

濃い灰色の空。


かつて人々が往来し、栄華を誇った「地球」の成れの果てが、この光景である。

一人の青年は、空と同じ濃い灰色のマントで体と顔を覆い、その光景を見渡していた。

隣にいるのは幼い少女。この「地球」に生まれたが、今は星の外へ亡命した人類の一人だ。


青年は少女の遊び相手であり、かつての「地球」の姿を知り、少女に語ることができる数少ない一人だ。


「お兄ちゃん、どうして毎日ここに来るの?」


あどけない表情で青年を見上げる少女。

「……サラ、今日はあるお姫様とロボットの話をしようか。」

「お姫様と、ロボット?」

少女の名はサラ。年は5つほど。

いつもこういうふうに青年からかつての「地球」のことを話してもらっている。


「そう、あれはね、今から100年くらい前のことかな。」


「なんでそんな昔のこと知ってるの?」


「………内緒。さぁ、話をはじめようか。」


青年は話を始めた。

その時、風が吹いて、青年のかぶっていたマントがめくれ顔があらわになった。

青年の耳は、人間のそれとは違い、機械のような形をしていた。


そして、そこには「136」と記されていた。


荒廃した大地、灰色の街に、青年と少女。




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