機械とヒト
王朝の一室。

純和風の畳の部屋に、現代風の装飾が施された和服を身にまとった娘が外を眺めていた。


「王朝の中は退屈だわ…。」


10代後半にしてはやや小柄な彼女は、セカイ国の次期トップアサヒ姫。

外からの風に漆黒の髪は美しくなびく。


「今日も平和ね…。ウチュウ国の攻撃も少しおさまってきてるし…。」


安堵のため息を漏らしたのもつかの間、アサヒの背後には、ウチュウ人が迫っていた。

「誰!?」


王朝の習わしで、少し武術を嗜む彼女は、着物の袖をたくし上げ、近くにあった日本刀を抜いた。

これはただの刀ではない。抜くと同時に刃が稲妻を纏っていた。


「ウチュウ国の刺客ね…。ここにやすやすと侵入してくるあたり、流石というとこかしら。」


強気な態度をとるが、内心はかなり不安な彼女。そう、相手は体格のいい男が5人。

感情のこもらない銀色の瞳がサングラス越しからこちらを見ている。

黒いスーツをまとったその姿は、黒銀の狼のようだった。



男の力に敵うはずも無く、アサヒは攫われてしまった。


ウチュウ国に連れ去られ、王の前に突き出される。


「……ッ!」


王をキッと睨む黒い瞳。


「威勢のいい姫だ。だがお前に興味はない。お前のココロに興味があるのだ。」


「……ココロを持っていない割には、興味なんて感情持ち合わせてるのね…。」


「生憎感情が全くないわけではないのでな。生活に困らない程度の欲求だけは我々ウチュウ人にも存在する。」


顔にかかった銀髪を軽く手で払いながら、王はアサヒに言った。


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