はなぼうっ!
教室に入ると、
「と、いう訳で、担任の田村直純(たむらなおずみ)だ!」
何がどういう訳で、なのかは分からないが担任の挨拶が済んだ所みたいだった。
皆の前で自分が喋った内容に浸っているのか、田村は恍惚の表情で二人の存在には気付かない。
一方、場にそぐわないガラガラという扉を開けるのに反応したのだろうクラスメイト達の視線は一斉に実希と虎太郎に注がれた。
「えと……」
そして突然の注目に何をすればいいのか分からない実希は迷った挙げ句、
「はじめまして! 田中実希です!」
何を血迷ったのか突然挨拶をし始めた。
「え、えと……た、ただ人間には興味ありません。 この中に、宇宙人、 未来人、異世界人、超能力者がいたら、実希のところに来なさ──」
「アホかぁぁぁ!」
「あ痛っ!?」
「何某アニメのヒロインの台詞パクってんだよ!?」
「最初が肝心なんだよこたちゃんっ!」
「どんな印象植え付ける気だ!? っていうかこの小説読むのアニメとはほぼ無縁の女子高生様が多いんだよ! 伝わらねーネタ使うな!!」
「え、分かんない……かなぁ」
「分かるか!!」
虎太郎が〆のツッコミを入れたその瞬間、
「なんだお前等……ぶはっ、はははは!」
「マジうける~」
「漫才師なれんじゃね!?」
教室内にクラスメイト達の大爆笑が響いた。
「ど、どうしよこたちゃん……実希達笑われてるよ?」
「いや、まぁ……良いんじゃねぇの?」
「そうなのかな……」
この後、実希と虎太郎は入学式遅刻に加えHR妨害の件でこってり絞られ、帰路に付いたのは夕方四時であった。