新しい砂時計(続編)


だけどそんなのは強がりで。
本当はそんな強い勇気なんかなくて。


声が、思うようにはでない。
俺はいつも亜実をどう呼んでいたのだろうか。
自然に、“亜実”って。
呼べなくなってしまっていたんだ―――――




震える。
このままでは亜実が行ってしまう。
どこへかはわからないけれど、俺が来た道と同じ方向に。


待って。待ってくれ。



俺は精一杯の声で――――呼んだ。


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