新しい砂時計(続編)
ふたつの自分
『樋高俊、お前にはふたつのお前がいる』
―――――俺は、そう宣告された。
精神科の担当者、活田誠司(かつたせいじ)。
見た目、25歳くらい。
若くて、容姿も申し分ないやつだった。
「状況はわかります。なんとなく」
狂う前の自分と、狂ってしまった自分と。
1人の中に2人の人物が存在している、そんな今の自分。
怖いというより、信じがたい事実であった。
制御しきれない時に、狂いはじめるのだと言う。
それが、制御できるようになれば。
次第に、狂いは消えていくのだと。
そうも、宣告されたのだ。