激甘王子様

「まだ廉の事……好きだよ」


その言葉にピタッと足が止まる








なんて?


声がした教室のドアの隙間から、チラッと中を伺う。

色白でハチミツ色の髪がふわふわな、お人形さんみたいな女の子





廉の姿


「好きなの。廉じゃなきゃダメなの!!」


そう泣きじゃくる女の子に、冷たい視線を向ける廉


「悪いけど…彼女いるし、今さら実姫とやり直すつもりなんてねぇから」


廉の怒りに似た声。

静かな教室から見える二人の姿は、どこか寂しそうで…。


あたしの知らない廉の姿があった。




< 52 / 96 >

この作品をシェア

pagetop