激甘王子様
「廉、チューして?」
おねだりするみたいな喋り方をすると女の子は廉の首もとに手をかける
チクリ……と胸が痛んだ。
パシッ
廉は女の子の手を払い、冷たい眼差しを送ると、立ち上がってドアの陰に居るあたしの方へ歩いてきた。
「俺はコイツ以外ありえねぇから」
そう言って、ぎゅっとあたしを廉の胸へ引き寄せる。
視界の隅に写る、女の子の顔は悔しそうで…大きな瞳には涙が浮かんでいた。
"同情”
そう呼ばれても可笑しくない気持ちが心に落ちる。
「絶対…絶対絶対、諦めないんだからっ!!」
さっきとは打って変わって泣きじゃくる女の子。
「行くぞ」
廉はポーカーフェイスを崩すことなく、ゆっくりとあたしに合わせて教室を後にした。