【続編】長男のカゴ
それから善が電話をくれることはなかった。



雪村君もちょっとだけ学校に顔を出すようになったけど、話をするわけでもない。



そして学園祭当日、善のいない学祭はダラダラしたもので。



みんなやる気をなくし、前年と同じカフェ。



それなりに人も来るし、それなりに儲かった。



「怜さん、収支報告まとめましたので学園長に持って行ってもらえます?」

「うん、みんな片づけ?」

「そうですね。力仕事もたまにはしないといけません」



みんなが後かたづけに追われる中、あたしは報告書を届けに学園長室を目指した。



今日は秘書さんが手伝えないように、秘書さん達はS科寮で別の仕事をしてるから。



ひとりにはなりたくなかったんだけど…。



「失礼します、2年S科補佐の岩崎です。収支報告ができたので持ってきました」

「仕事が早いわね。一番乗りよ」

「売り上げは笹原先生に渡しておきました」

「ご苦労様。あら?あなた…藤間君の…元彼女?」



元カノ…なんだね…。



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